Classici giapponesi con furigana
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とうくろうのしま
藤九郎の島
久生 十蘭
Leggi 藤九郎の島 (とうくろうのしま) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9765 caratteri · 19 schermate
五
甚八、仁一郎、平三郎の三人は、入江のそばの小高いところへあがり、沖に向って、もっと東のほうへ艀をまわせと手真似をすると、どうしたのか、その艀は舳先を向きかえて、沖のほうへ逃げだして行った。
五
「これはどうしたものだ」
三人は呆気にとられて沖を見ていたが、甚八は思いついたように、
「どうしたって、逃げださずにはいられまい。われらは、たがいに見馴れて、なんとも思わぬが、面は猿のように赤く、髪は蓬々、髭は蓬々、手足は餓鬼のように痩せ、着ているものは藤九郎の羽根を綴りあわした天狗の装束ときている。知らぬものには鬼のように見えるだろう。われらはひっこんで、大阪船衆に出てもらわなくてはなるまい」
といって笑った。
大阪組が岸へ出て船繰りをし、人間と荷物を痛めもせずに岩端にひきあげた。
それは船頭栄右衛門、水夫八五郎、総右衛門、善助、重次郎の五人で、日向の志布志浦を出帆して日向灘で楫を折り、潮の流れに乗ってそのままこちらへ流されたものであった。
島のかたちは、元日の朝から見ていたが、逆風におしまくられて近寄ることができない。それで艀で漕ぎつける決心をしたが、岩山ばかりで、人の住んでいるようすもない。