Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とうじゅうろうのこい

藤十郎の恋

菊池 寛

Leggi 藤十郎の恋 (とうじゅうろうのこい) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.078 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

が、この藤十郎の切ない恋を情なくなさるとは、さても気強いお人じゃのう。舞台の上の色事では、日本無双の藤十郎も、そなたにかかっては、たわいものう振られ申したわ。ははははははは。

お梶 (ふと顔を上げる。必死な顔色になる。低い消え入るような声で)それでは藤様、今おっしゃったことは皆本心かいな。

藤十郎 (さすがに必死な蒼白な面をしながら)なんの、てんごうをいうてなるものか。人妻に言寄るからは命を投げ出しての恋じゃ。(浮腰になっている。彼の膝が、微かに震える)

(必死の覚悟を定めたらしいお梶は、火のような瞳で、男の顔を一目見ると、いきなりそばの絹行灯の灯を、フッと吹き消してしまう。闇のうちに恐ろしい躊躇と沈黙が、二人の間にある。お梶は身体を、わなわな震わせながら、男の近づくのを待っている。藤十郎の目が上ずってしまって、足がかすかに震える。ようやく立ち上るとお梶の方へ歩みよる。お梶必死になるが、藤十郎は、そのそばをするりと通りぬけて、手探りに廊下へ出る)

お梶 (男の去らんとするに、気が付いて)藤様! 藤様!(と低く呼びながら、追い縋ろうとする)

(藤十郎、お梶の追うのに気付いて、背後の障子を閉める。