Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

よっぽど乗ったね」

「そうさ、待合所が黒山のようだった」

「京都は淋しいだろう。今頃は」

「ハハハハ本当に。実に閑静な所だ」

「あんな所にいるものでも動くから不思議だ。あれでもやっぱりいろいろな用事があるんだろうな」

「いくら閑静でも生れるものと死ぬものはあるだろう」と甲野さんは左の膝を右の上へ乗せた。

「ハハハハ生れて死ぬのが用事か。蔦屋の隣家に住んでる親子なんか、まあそんな連中だね。随分ひっそり暮してるぜ。かたりともしない。あれで東京へ行くと云うから不思議だ」

「博覧会でも見に行くんだろう」

「いえ、家を畳んで引っ越すんだそうだ」

「へええ。いつ」

「いつか知らない。そこまでは下女に聞いて見なかった」

「あの娘もいずれ嫁に行く事だろうな」と甲野さんは独り言のように云う。

「ハハハハ行くだろう」と宗近君は頭陀袋を棚へ上げた腰を卸しながら笑う。相手は半分顔を背けて硝子越に窓の外を透して見る。外はただ暗いばかりである。汽車は遠慮もなく暗いなかを突切って行く。轟と云う音のみする。人間は無能力である。

「随分早いね。何哩くらいの速力か知らん」と宗近君が席の上へ胡坐をかきながら云う。