Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
夢の世を夢よりも艶に眺めしむる黒髪を、乱るるなと畳める鬢の上には、玉虫貝を冴々と菫に刻んで、細き金脚にはっしと打ち込んでいる。静かなる昼の、遠き世に心を奪い去らんとするを、黒き眸のさと動けば、見る人は、あなやと我に帰る。半滴のひろがりに、一瞬の短かきを偸んで、疾風の威を作すは、春にいて春を制する深き眼である。この瞳を遡って、魔力の境を窮むるとき、桃源に骨を白うして、再び塵寰に帰るを得ず。ただの夢ではない。糢糊たる夢の大いなるうちに、燦たる一点の妖星が、死ぬるまで我を見よと、紫色の、眉近く逼るのである。女は紫色の着物を着ている。
静かなる昼を、静かに栞を抽いて、箔に重き一巻を、女は膝の上に読む。
「墓の前に跪ずいて云う。この手にて――この手にて君を埋め参らせしを、今はこの手も自由ならず。捕われて遠き国に、行くほどもあらねば、この手にて君が墓を掃い、この手にて香を焚くべき折々の、長しえに尽きたりと思いたまえ。生ける時は、莫耶も我らを割き難きに、死こそ無惨なれ。羅馬の君は埃及に葬むられ、埃及なるわれは、君が羅馬に埋められんとす。君が羅馬は――わが思うほどの恩を、憂きわれに拒める、君が羅馬は、つれなき君が羅馬なり。