Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

と今度は兄が聞き直す。

「貴所方は」と糸子を差し置いて藤尾が振り返る。黒い髪の陰から颯と白い顔が映す。頬の端は遠い火光を受けてほの赤い。

「僕は三遍目だから驚ろかない」と宗近君は顔一面を明かるい方へ向けて云う。

「驚くうちは楽があるもんだ。女は楽が多くて仕合せだね」と甲野さんは長い体躯を真直に立てたまま藤尾を見下した。

黒い眼が夜を射て動く。

「あれが台湾館なの」と何気なき糸子は水を横切って指を点す。

「あの一番右の前へ出ているのがそうだ。あれが一番善く出来ている。ねえ甲野さん」

「夜見ると」甲野さんがすぐ但書を附け加えた。

「ねえ、糸公、まるで竜宮のようだろう」

「本当に竜宮ね」

「藤尾さん、どう思う」と宗近君はどこまでも竜宮が得意である。

「俗じゃありませんか」

「何が、あの建物がかね」

「あなたの形容がですよ」

「ハハハハ甲野さん、竜宮は俗だと云う御意見だ。俗でも竜宮じゃないか」

「形容は旨く中ると俗になるのが通例だ」

「中ると俗なら、中らなければ何になるんだ」

「詩になるでしょう」と藤尾が横合から答えた。

「だから、詩は実際に外れる」と甲野さんが云う。

「実際より高いから」