Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
窓掛に春を遮ぎる書斎は、薄暗く二人を、人の世から仕切った。
「暗い事」と云いながら、母は真中の洋卓まで来て立ち留まる。椅子の背の上に首だけ見えた欽吾の後姿が、声のした方へ、じいっと廻り込むと、なぞえに引いた眉の切れが三が一ほどあらわれた。黒い片髭が上唇を沿うて、自然と下りて来て、尽んとする角から、急に捲き返す。口は結んでいる。同時に黒い眸は眼尻まで擦って来た。母と子はこの姿勢のうちに互を認識した。
「陰気だねえ」と母は立ちながら繰り返す。
無言の人は立ち上る。上靴を二三度床に鳴らして、洋卓の角まで足を運ばした時、始めて
「窓を明けましょうか」と緩聞いた。
「どうでも――母さんはどうでも構わないが、ただ御前が欝陶しいだろうと思ってさ」
無言の人は再び右の手の平を、洋卓越に前へ出した。促がされたる母はまず椅子に着く。欽吾も腰を卸した。
「どうだね、具合は」
「ありがとう」
「ちっとは好い方かね」
「ええ――まあ――」と生返事をした時、甲野さんは背を引いて腕を組んだ。同時に洋卓の下で、右足の甲の上へ左の外踝を乗せる。母の眼からは、ただ裄の縮んだ卵色の襯衣の袖が正面に見える。