Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
「兄さんは小野さんよりも一の方が、母さんを大事にしてくれると御言いのだよ」
「兄さん」と藤尾は鋭く欽吾に向った。「あなた小野さんの性格を知っていらっしゃるか」
「知っている」と閑静に云う。
「知ってるもんですか」と立ち上がる。「小野さんは詩人です。高尚な詩人です」
「そうか」
「趣味を解した人です。愛を解した人です。温厚の君子です。――哲学者には分らない人格です。あなたには一さんは分るでしょう。しかし小野さんの価値は分りません。けっして分りません。一さんを賞める人に小野さんの価値が分る訳がありません。……」
「じゃ小野にするさ」
「無論します」
云い棄てて紫の絹は戸口の方へ揺いた。繊い手に円鈕をぐるりと回すや否や藤尾の姿は深い背景のうちに隠れた。
十六
叙述の筆は甲野の書斎を去って、宗近の家庭に入る。同日である。また同刻である。
相変らずの唐机を控えて、宗近の父さんが鬼更紗の座蒲団の上に坐っている。襯衣を嫌った、黒八丈の襦袢の襟が崩れて、素肌に、もじゃ、もじゃと胸毛が見える。忌部焼の布袋の置物にこんなのがよくある。布袋の前に異様の煙草盆を置く。呉祥瑞の銘のある染付には山がある、柳がある、人物がいる。