Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
「向を出したって、向の性格は堕落するばかりだ」
「向を出さないまでも、こっちが出るには当るまい」
「こっちが出なければ、こっちの性格が堕落するばかりだ」
「なぜ財産をみんなやったのか」
「要らないもの」
「ちょっと僕に相談してくれれば好かったのに」
「要らないものをやるのに相談の必要もなにもないからさ」
宗近君はふうんと云った。
「僕に要らない金のために、義理のある母や妹を堕落させたところが手柄にもならない」
「じゃいよいよ家を出る気だね」
「出る。おれば両方が堕落する」
「出てどこへ行く」
「どこだか分らない」
宗近君は机の上にあるレオパルジを無意味に取って、背皮を竪に、勾配のついた欅の角でとんとんと軽く敲きながら、少し沈吟の体であったが、やがて、
「僕のうちへ来ないか」と云う。
「君のうちへ行ったって仕方がない」
「厭かい」
「厭じゃないが、仕方がない」
宗近君はじっと甲野さんを見た。
「甲野さん。頼むから来てくれ。僕や阿父のためはとにかく、糸公のために来てやってくれ」
「糸公のために?」
「糸公は君の知己だよ。御叔母さんや藤尾さんが君を誤解しても、僕が君を見損なっても、日本中がことごとく君に迫害を加えても、糸公だけはたしかだよ。