Classici giapponesi con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate
紺緞子の帯が、窓からさす明をまともに受けた。
欽吾は腕を右へ真直に、日蔽のかかった椅子の背頸を握った。瘠せた肩を斜にして、ずるずると机の傍まで引いて来た。
母は机の奥から屑籠を引き擦り出した。手紙の断片を一つ一つ床から拾って籠の中へ入れる。捩じ曲げたのを丹念に引き延ばして見る。「いずれ拝眉の上……」と云うのを投げ込む。「……御免蒙り度候。もっとも事情の許す場合には御……」と云うのを投げ込む。「……はとうてい辛抱致しかね……」と云うのを裏返して見る。
欽吾は尻眼に母をじろりと眺めた。机の角に引き寄せた椅子の背に、うんと腕の力を入れた。ひらりと紺足袋が白い日蔽の上に揃った。揃った紺足袋はすぐ机の上に飛び上る。
「おや、何をするの」と母は手紙の断片を持ったまま、下から仰向いた。眼と眼の間に怖の色が明かに読まれた。
「額を卸します」と上から落ちついて云う。
「額を?」
怖は愕と変じた。欽吾は鍍金の枠に右の手を懸けた。
「ちょいと御待ち」
「何ですか」と右の手はやはり枠に懸っている。
「額を外して何にする気だい」
「持って行くんです」
「どこへ」
「家を出るから、額だけ持って行くんです」