Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぐびじんそう

虞美人草

夏目 漱石

Leggi 虞美人草 (ぐびじんそう) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 198.559 caratteri · 401 schermate

Aozora Bunko

――小米桜の後ろは建仁寺の垣根で、垣根の向うで琴の音がするんです」

琴はいよいよ出て来た。糸子はなるほどと思う。小野さんはこれはと思う。

「二階の欄干から、見下すと隣家の庭がすっかり見えるんです。――ついでにその庭の作りも話しましょうか。ホホホホ」と藤尾は高く笑った。冷たい糸が辛夷の花をきらりと掠める。

「ホホホホ御厭なの――何だか暗くなって来た事。花曇りが化け出しそうね」

そこまで近寄って来た暗い雲は、そろそろ細い糸に変化する。すいと木立を横ぎった、あとから直すいと追懸けて来る。見ているうちにすいすいと幾本もいっしょに通って行く。雨はようやく繁くなる。

「おや本降になりそうだ事」

「私失礼するわ、降って来たから。御話し中で失礼だけれども。大変面白かったわ」

糸子は立ち上がる。話しは春雨と共に崩れた。

七

燐寸を擦る事一寸にして火は闇に入る。幾段の彩錦を捲り終れば無地の境をなす。春興は二人の青年に尽きた。狐の袖無を着て天下を行くものは、日記を懐にして百年の憂を抱くものと共に帰程に上る。

古き寺、古き社、神の森、仏の丘を掩うて、いそぐ事を解せぬ京の日はようやく暮れた。