Classici giapponesi con furigana
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しんきろう
蜃気楼
Leggi 蜃気楼 (しんきろう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4624 caratteri · 10 schermate
しかしその火も消えてしまうと、あたりは前よりも暗くなってしまった。
「昼間ほどの獲物はなかった訣だね。」
「獲物? ああ、あの札か? あんなものはざらにありはしない。」
僕等は絶え間ない浪の音を後に広い砂浜を引き返すことにした。僕等の足は砂の外にも時々海艸を踏んだりした。
「ここいらにもいろんなものがあるんだろうなあ。」
「もう一度マッチをつけて見ようか?」
「好いよ。………おや、鈴の音がするね。」
僕はちょっと耳を澄ました。それはこの頃の僕に多い錯覚かと思った為だった。が、実際鈴の音はどこかにしているのに違いなかった。僕はもう一度O君にも聞えるかどうか尋ねようとした。すると二三歩遅れていた妻は笑い声に僕等へ話しかけた。
「あたしの木履の鈴が鳴るでしょう。――」
しかし妻は振り返らずとも、草履をはいているのに違いなかった。
「あたしは今夜は子供になって木履をはいて歩いているんです。」
「奥さんの袂の中で鳴っているんだから、――ああ、Yちゃんのおもちゃだよ。鈴のついたセルロイドのおもちゃだよ。」
O君もこう言って笑い出した。そのうちに妻は僕等に追いつき、三人一列になって歩いて行った。