Classici giapponesi con furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Leggi 蜘蛛の夢 (くものゆめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.189 caratteri · 298 schermate
「いくら昔の家来すじだって、今どきあんなに親切に世話をする者があるか。何かほかに子細があるに相違ない。おまけに、あの人は洋服を着ていることもある。」
この時代には、洋服もひとつの問題であった。あるお世話焼きがおすま親子にむかって、それとなく探りを入れると、母も娘もふだんから淑ましやかな質であるので、あまり詳しい説明も与えなかったが、ともかくもこれだけの事をかれらの口から洩らした。
ここへたずねてくる男は、おすまの屋敷に奉公していた若党の村田平造という者で、維新後は横浜の外国商館に勤めている。この六月、両国の広小路で偶然かれにめぐり逢ったのが始まりで、その後親切にたびたび尋ねて来てくれる。そうして、ただ遊んでいては困るであろうというので、彼が百円あまりの金を出してくれて、表通りの店をゆずり受けることになった。――こう判ると、すべてが想像通りで、いよいよ不思議はないことになるので、長屋の人たちの好奇心もさすがにだんだん薄らいで来た。そのあいだに、おすま親子は表の店へ引移って、造作などにも多少の手入れをして、十二月の朔日から商売をはじめた。
「馴れない商売ですからどうなるか判りませんが、村田が折角勧めてくれますので、ともかくも店をあけて見ますから何分よろしく願います。