Classici giapponesi con furigana
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くものゆめ
蜘蛛の夢
岡本 綺堂
Leggi 蜘蛛の夢 (くものゆめ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 147.189 caratteri · 298 schermate
叔母が話しているようでは、母も家にいるに相違ありません。二人は何かの話に気を取られて行燈をつけるのも忘れて、暗いなかで小声で話しているのをみると、これはどうも唯事ではあるまいと、年のゆかないわたくしも迂濶にはいるのを遠慮しました。そうして、お竈のそばに小さくなって奥の様子を窺っていますと、もともと狭い家ですから奥といっても鼻のさきで、ふたりの話し声はよく聞き取れます。叔母は小声で何か言いながらすすり泣きをしているようです。母も溜息をついているようです。どう考えても唯事ではないと思うと、わたくしも何だか悲しくなりました。そのうちに、話も大抵済んだとみえて、叔母は思い出したように言いました。
「まあちゃんまだ帰らないのかしら。」
まあちゃんというのはわたくしの名で、お政というのでございます。それを切っかけに、顔を出そうか出すまいかと考えていますと、叔母はすぐに帰りかかりました。
「おや、いつの間にかすっかり夜になってしまって……。どうもお邪魔をしました。」
「ほんとうにあかりもつけないで……。」と、母も入口へ送って出るようです。
その間にわたくしは茶の間にはいって行燈をつけました。