Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くも

蜘蛛

豊島 与志雄

Leggi 蜘蛛 (くも) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3640 caratteri · 8 schermate

Aozora Bunko

蜘蛛は面白い動物である。近代人的な過敏な神経と、偉人的な野性と、自然的な神秘さとを具えている。

近代人の神経は、何かしら不健康で不気味である。本物の動物的なものから根こぎにされたような趣きがある。運動的知覚がひどく鈍く、感情的知覚がひどく鋭い。この運動の方面の知覚と感情の方面の知覚とが、不均衡になればなるほど、益々病的に不気味になってゆく。――蜘蛛を見てもそういう感じがする。始終巣の真中にじっとして餌物を待ちすましてるところは、苛ら苛らしながら日向ぼっこをしてる近代人の俤がある。そして巣の僅かな微動にも緊張した神経が震えおののく様は、単なる触知でなしに、感情的知覚の域にまでふみこんでる概がある。あのものぐさと敏感さとには、何かしら病的な不気味なものがある。

偉人は凡て野性を有するというのは、否、野性を有していなければ偉大な仕事は出来ないというのは、私の持論である。都会人的な巧妙さと精緻さとでは、大きな仕事は成されない。野性と云うのに語弊があるならば、大地の中に根を張ってつっ立ってる力とでも云うような、何かしら人為的でない後天的でない本質的な力である。