Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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われはうたえども やぶれかぶれ

蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ

室生 犀星

Leggi 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.726 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

弛い放射音が海鳴りのようにつたわる高い天井裏は見ることが出来ないが、天井の灰鼠の混凝土の上に心がとどまって遊んでいる気がし出し、それは天井が見られないために却ってそんな心が遊ぶ状態にあることを知った。天井へとせり上った大きな壁面の切れめに、ちょっとした線が一本曳かれていて、よく見ればそれは線でも何でもない一種のいんえいであることが、さびしく私の眼にえがかれた。蜻蛉や蠅でなければ行けない何物かの断層面にも似ていた。それを展望している間に驚くべき早さで三分間の時間が消去されたのだ。終射の呼鈴が鳴り渡って私は放射室からうしろも見ずに、エレベーターの方に向いて歩いた。井荻看護婦が手押車を支えて私を待ち、私は機嫌好く一階の売店のあたりをふらつくことを提案したが、井荻はこの気違いじみた患者は泌尿科行きでもなければ内科でもない、寧ろ精神科行きだといい、彼女はうまく言い当てたことで突然嬉しそうに会心の笑いを笑って、この病院にたしか神経科があった筈だとまた笑って言った。

私達が病室の廊下にかかると、例の男が看護婦と何か話し合って口を結んだまま、にっと笑った。その笑い顔はぎょろりとした眼球を柔らげ、この男も微笑することがあるのかと、決して見られないものを見た物珍らしさで私は見過した。