Classici giapponesi con furigana
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
Leggi 蝶の絵 (ちょうのえ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.644 caratteri · 49 schermate
おれも何十回聞いたか知れないが、聞いているあいだ、西洋の歌だということを忘れているふうだったよ」
といった。すると、そばにいた岩城が、思いだしたようにこんな話をした。
「いまのハバネラで思いだしたが、バタヴィアの戦犯裁判にかけられたなかに、比島の若い娘たちにたいへんな人気があって、『蝶』という愛称で呼ばれていた日本人がいた」
須田が気のない調子でたずねた。
「そいつは、なにをしたんだい」
「マニラのポゥロ大学の八百人の非戦闘員虐殺、ラグナのカランパノの幼児虐殺、パタネスのバスコの残虐事件……それのどれかに干与しているはずで、そのため、いくども法廷へひき出されるんだが、ドタン場へいくと、五人も十人も若い娘の証人が出て、反証をあげて無罪にしてしまうんだ」
「丹次郎だな。ちょっとしたもんだ」
笠原がまぜっかえしにかかった。
「それで、逃げきったのか」
「そんなやつだったが、やはり最後の幕は出さざるをえなかった。比島のほうは逃げきったが、スマトラのパレンバンの虐殺一件を、なにやらいうスペインの混血娘に摘発されて、とうとうバタヴィアの刑務所で絞首刑になった。頭巾をとると、『蝶』