Classici giapponesi con furigana
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
Leggi 蝶の絵 (ちょうのえ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.644 caratteri · 49 schermate
この蝶は、飛んでいるのか、流れているのか。血の赤と、骨の白の配色の翅をつけた一匹の蝶は、落寞とした空間に、見るもあやうげにかかっている。山川の手紙には触れていなかったが、マリポサは津村でなく、じつは山川だったことは、いろいろな事情で、いまはもう明らかになっている。この絵の蝶は、あたかも山川の生涯を諷刺しているようでもあった。
桐ヶ谷までの道は、長々しく、もの悲しく、なにか物を思わせた。待合室には、山川家のフジョンにつらなる、大学の学長や、博士や、その夫人や、利口な顔、抜け目のない顔々が、宗教的な偽隈をつけ、いとしめやかに控えていた。
二時間ほどすると、ひょろりと長い山川の身体が、すこしばかりの骨の集積になって、熱つ熱つのまま、みなのところへ戻ってきた。
山川の骨は、白や、薄鼠や、テール・ド・ナチュレルの枯葉の褐色をまぜた、ユトリロの描く白壁の枯淡な味をみせ、風吹かば飛ばんという洒脱なスタイルで、鉄板のうえに載っている。係員が小箒で真中へ集めにかかると、山川は蝶の鱗粉のように軽々と舞いあがり、一人一人の鼻の孔へ、丁寧に形見分けをして廻った。