Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かにこうせん

蟹工船

小林 多喜二

Leggi 蟹工船 (かにこうせん) di 小林 多喜二 (こばやしたきじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 61.890 caratteri · 125 schermate

Aozora Bunko

「此者ハ不忠ナル偽病者ニツキ、麻縄ヲ解クコトヲ禁ズ」

と書いたボール紙を吊していた。

額に手をやってみると、冷えきった鉄に触るより冷たくなっている。雑夫等は工場に入るまで、ガヤガヤしゃべっていた。それが誰も口をきくものがない。後から雑夫長の下りてくる声をきくと、彼等はその学生の縛られている機械から二つに分れて各々の持場に流れて行った。

蟹漁が忙がしくなると、ヤケに当ってくる。前歯を折られて、一晩中「血の唾」をはいたり、過労で作業中に卒倒したり、眼から血を出したり、平手で滅茶苦茶に叩かれて、耳が聞えなくなったりした。あんまり疲れてくると、皆は酒に酔ったよりも他愛なくなった。時間がくると、「これでいい」と、フト安心すると、瞬間クラクラッとした。

皆が仕舞いかけると、

「今日は九時までだ」と監督が怒鳴って歩いた。「この野郎達、仕舞いだッて云う時だけ、手廻わしを早くしやがって!」

皆は高速度写真のようにノロノロ又立ち上った。それしか気力がなくなっていた。

「いいか、此処へは二度も、三度も出直して来れるところじゃないんだ。それに何時だって蟹が取れるとも限ったものでもないんだ。