Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
と云った。
その時兄と自分は下の風呂に行くつもりで二人ながら手拭をさげていた。そうして自分は彼の二間ばかり後に立って、屏風の竹を眺める彼をまた眺めていた。自分は兄がこの屏風の画について、何かまた批評を加えるに違いないと思った。
「何です」と答えた。
「先刻汽車の中で話しが出た、あの三沢の事だね。お前はどう思う」
兄の質問は実際自分に取って意外であった。彼はなぜその話しを今まで自分に聞かせなかったと汽車の中で問われた時、すでに苦い顔をして必要がないからだと答えたばかりであった。
「例の接吻の話ですか」と自分は聞き返した。
「いえ接吻じゃない。その女が三沢の出る後を慕って、早く帰って来てちょうだいと必ず云ったという方の話さ」
「僕には両方共面白いが、接吻の方が何だかより多く純粋でかつ美しい気がしますね」
この時自分達は二階の梯子段を半分ほど降りていた。兄はその中途でぴたりと留った。
「そりゃ詩的に云うのだろう。詩を見る眼で云ったら、両方共等しく面白いだろう。けれどもおれの云うのはそうじゃない。もっと実際問題にしての話だ」
十二
自分には兄の意味がよく解らなかった。