Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
釣台は暗くて見えなかったが、用意の提灯の灯はやがて動き出した。窓が高いのと往来が狭いので、灯は谷の底をひそかに動いて行くように見えた。それが向うの暗い四つ角を曲ってふっと消えた時、三沢は自分を顧みて「帰り着くまで持てば好いがな」と云った。
二十五
こんな悲酸な退院を余儀なくされる患者があるかと思うと、毎日子供を負ぶって、廊下だの物見台だの他人の室だのを、ぶらぶら廻って歩く呑気な男もあった。
「まるで病院を娯楽場のように思ってるんだね」
「第一どっちが病人なんだろう」
自分達はおかしくもありまた不思議でもあった。看護婦に聞くと、負ぶっているのは叔父で、負ぶさっているのは甥であった。この甥が入院当時骨と皮ばかりに瘠せていたのを叔父の丹精一つでこのくらい肥ったのだそうである。叔父の商売はめりやす屋だとか云った。いずれにしても金に困らない人なのだろう。
三沢の一軒おいて隣にはまた変な患者がいた。手提鞄などを提げて、普通の人間の如く平気で出歩いた。時には病院を空ける事さえあった。帰って来ると素っ裸体になって、病院の飯を旨そうに食った。そうして昨日はちょっと神戸まで行って来ましたなどと澄ましていた。