Classici giapponesi con furigana
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こうじん
行人
Leggi 行人 (こうじん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 224.801 caratteri · 452 schermate
そうしてその話が直接「あの女」と何の関係もなかったのでなおさら意外の感に打たれた。
今から五六年前彼の父がある知人の娘を同じくある知人の家に嫁らした事があった。不幸にもその娘さんはある纏綿した事情のために、一年経つか経たないうちに、夫の家を出る事になった。けれどもそこにもまた複雑な事情があって、すぐわが家に引取られて行く訳に行かなかった。それで三沢の父が仲人という義理合から当分この娘さんを預かる事になった。――三沢はいったん嫁いで出て来た女を娘さん娘さんと云った。
「その娘さんは余り心配したためだろう、少し精神に異状を呈していた。それは宅へ来る前か、あるいは来てからかよく分らないが、とにかく宅のものが気がついたのは来てから少し経ってからだ。固より精神に異状を呈しているには相違なかろうが、ちょっと見たって少しも分らない。ただ黙って欝ぎ込んでいるだけなんだから。ところがその娘さんが……」
三沢はここまで来て少し躊躇した。
「その娘さんがおかしな話をするようだけれども、僕が外出するときっと玄関まで送って出る。いくら隠れて出ようとしてもきっと送って出る。そうして必ず、早く帰って来てちょうだいねと云う。