Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まちはふるさと

街はふるさと

坂口 安吾

Leggi 街はふるさと (まちはふるさと) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 193.435 caratteri · 389 schermate

Aozora Bunko

「私というものを失っては、大庭さんがお気の毒とは思いませんか」

その自信は、使徒の安定を示しているようにも思われた。

五

放二は廊下で礼子に別れて部屋へ戻った。青木はそれと察したらしく、

「あの奥さんは?」

「いまお帰りになりました」

「君をよびだしたのは、お金を貸してくれというのだろう」

「いゝえ、そんな話はありませんでした」

「え? ほんとかい?」

青木は慌てて立ち上って、

「君、すまないが、千円かしてくれ。あの奥さんはお金を持っちゃいないんだ。鎌倉へ帰るぐらいの電車賃はあるらしいが、明日のお小遣いも、生活費だって、持っちゃいないんだから。君、助けてやってくれよ。たのむ」

青木は放二から千円札をうけとると、酔顔をいかめしくこわばらして、足もとをふみしめながら、急ぎ去った。

異様な関係にある夫婦らしいが、前後を通算して、放二は悪い感情をうけなかった。

青木の別れた妻によせるいたわりは、目を覆いたいほど、いたましい。金の泥沼に落ちこめば、誰しも餓鬼であり、憑かれた妄者になるものだ。そのような妄者にとっては、夫婦関係も、愛情も、支離メツレツになるだろう。