Classici giapponesi con furigana
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うたせてやらぬかたきうち
討たせてやらぬ敵討
長谷川 伸
Leggi 討たせてやらぬ敵討 (うたせてやらぬかたきうち) di 長谷川 伸 (はせがわしん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.752 caratteri · 22 schermate
その永らくの間に、宮内は時々故郷の空を望んで、非力者の腕前が、君家の役に大分立っているのを自慢した。今度会津へ帰ってからも、そうした気もちを、胸一杯にもっていたが、慎九郎の噂を聞くと、今までの元気が一度に耗った如く思った。
慎九郎は主水の弟、多賀井又八郎の妻子を捉えに行き、大分武勇を示したというのだ。そればかりか、慎九郎ときいとは、互いに父となり母となっていた。子供は今年二歳だという。
◇
牛ヶ墓のほとりの桜が咲いた。隠密の苦心を認める者より、慎九郎の腕前の方が、知合いの間柄では優るとされた、その噂で気を苛だたせていた宮内は、桜見物に出てきても、一向面白くもなかった。
「きい殿でござったな、久方ぶりでござる」
桜狩の女のうちから、宮内は慎九郎の妻を偶然みつけ出した。
「これは弓削田様、いつもながらお健やかでお喜び申しあげまする」
若い母の色つやは、娘時代よりはずっと美しく、三年前よりは、肉づきまでがふくよかになっていた。宮内はそれをみると、慎んではいるつもりだが、妬心がふいと芽を出した。
「おお、そこにいたか、あちらへ参れ」
急に現れてきた慎九郎は、宮内には一瞥もくれず、ただ妻にだけ口をきいた。