Classici giapponesi con furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Leggi 註文帳 (ちゅうもんちょう) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.770 caratteri · 67 schermate
」
「何です、それは、」とやや顔の色を直して言った。口うらを聞けば金子らしい、それならばと思う今も衣兜の中なる、手尖に触るるは袂落。修学のためにやがて独逸に赴かんとする脇屋欽之助は、叔母に今は世になき陸軍少将松島主税の令夫人を持って、ここに擲って差支えのない金員あり。もって、余りに頼効なき虚気の罪を、この佳人の前に購い得て余りあるものとしたのである。
問われてお杉は引取って、
「ちっとばかりお金子です。」
欽之助は嬉しそうに、
「じゃあ私が償おう。いいえ、どうぞそうさしておくんなさい、大したことならば帰るまで待ってもらおうし、そんなでも無いなら遣って可いのを持っているから。」と思込んで言った。
「飛んでもない、貴下、」と杉。
お若は知らぬ顔をして莞爾している。
此方は熱心に、
「お願いだから、可いんだから、それでないと実に面目を失する。こうやって顔を合していても冷汗が出るほど、何だか極が悪いんだ、夜々中見ず知らずが入込んで、どうも変だ。」
「あなた、可いんですよ、私お金子を持っています、何にも遣わないお小遣が沢山あるわ、銀のだの、貴下、紙幣のだの、」といいながら、窮屈そうに坐って畏まっていた勝色うらの褄を崩して、膝を横、投げ出したように玉の腕を火鉢にかけて、斜に欽之助の面を見た。