Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たににうたうおんな

谷にうたう女

小川 未明

Leggi 谷にうたう女 (たににうたうおんな) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3202 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

くりの木のこずえに残った一ひらの葉が、北の海を見ながら、さびしい歌をうたっていました。

おきぬは、四つになる長吉をつれて、山の畑へ大根を抜きにまいりました。やがて、冬がくるのです。白髪のおばあさんが、糸をつむいでいるように、空では、雲が切れたり、またつながったりしていました。

下の黒土には、黄ばんだ大根の葉が、きれいに頭を並べていました。おきぬは子供がかぜぎみであることを知っていました。持ってくるはずのねんねこを忘れてきたのに気がついて、

「長吉や、ここに待っておいで、母ちゃんは、すぐ家へいってねんねこを持ってくるからな。どこへもいくでねえよ。」

子供は、だまって、うなずきました。

おきぬは、ゆきかけて、またもどってきました。

「ほんとうに、どこへもいくでねえよ。そこにじっとして待っていれや。」

そういって、彼女は、坂道を駈け下りるようにして、急ぎました。

あたりには人の影もなかったのです。くりの木のこずえについていた枯れた葉は、今夜の命も知らぬげに、やはり、ひらひらとして、風の吹くたびに歌をうたっていました。そしてふもとの水車場から、かすかに車の音がきこえてきました。