Classici giapponesi con furigana
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おつきさまのうた
豊島与志雄童話集
豊島 与志雄
Leggi 豊島与志雄童話集 (おつきさまのうた) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 162.569 caratteri · 336 schermate
三
それから王子は、月のある晩はいつも庭に出て、森の精を待たれました。けれど森の精は一向迎えに来てくれませんでした。王子は悲しそうにお城の裏門の方を眺められました。その鉄の戸は厳しく閉め切ってありまして、いくら王子の身でも、それを夜分に開かせることは出来ませんでした。
王子はいろいろ思い廻された上、遂にお守役の老女にわけを話して、白樫の森に行けるような手段を相談されました。老女は大層王子に同情しまして、いいことを一つ考えてくれました。
ある日王様が庭を散歩していられます所へ、王子と老女とが出て参りました。老女はこう王様に申し上げました。
「このお庭は、月夜の晩はそれはきれいでございますけれど、あまり淋しすぎます。お月見の時に一晩だけお城の門をすっかり開いて、城下の人達を自由にはいらせて、皆で踊らせたらどんなにかおもしろいことでございましょう」
王子も傍から申されました。
「それはおもしろい。お父様、そういたそうではございませんか」
二人がしきりにすすめますものですから、王様も承知なさいました。そしてすぐに、その用意を家来に言い付けられました。