Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひんみんくらぶ

貧民倶楽部

泉 鏡花

Leggi 貧民倶楽部 (ひんみんくらぶ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 55.333 caratteri · 111 schermate

Aozora Bunko

」うわっ。

「おいで、おいで。」と手招きすれば、先より気色を窺いたる、(じゃむこう)衝と来たる。頭を撫で、かの紙片を首環に結附け、指にてぐいと押込むとたんに、後架の戸ぱたりと開く。見返れば綾子夫人、「秀、何をしている。」

秀はおどおど、「はい、何、あの……まあ、ちょいと御覧遊ばせ、飛んだ良い犬でございますねえ。飼われているのかして綺麗ですよ。上手にちんちんを致します、それそれ。あら、御廻も旨いこと、ほほほほ。」とわざとらしく笑い、「おやおや、犬に夢中になってサ、まあどうも飛んだ失礼、ただいま御手水を差上げます。」

あたふた飛んで来て柄杓を取れば、両手を出して濯ぎながら、跪坐る秀をじっと御覧じ、「秀。」屹としたる御召に、少し顔の色を変えて「はい……い。」綾子は声に力を籠めて、「お謂いでないよ。」語は一句、無量の意味を含めたり。

小間使は情を解せず、返事に行詰りて無言なり。

「お謂でないよ。」と繰返して、「今に御客も来るし、今朝のね、彼の件はきっと謂わないだろうね。」と幾多の危懼、憂慮を包める声音、==お謂でないよ==は符牒のようなり。ただ秘密あれば従って符牒あり。