Classici giapponesi con furigana
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あかいらくだ
赤い駱駝
梅崎 春生
Leggi 赤い駱駝 (あかいらくだ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.820 caratteri · 24 schermate
看護科に連絡するとしても、こんなごった返しで、ろくな診察もしてくれないだろう。わかったぞ、とあいつは言ったが、ほんとに何が判ったのだろう。そして一時的なものにせよ、何故あんな錯乱にあいつがおちたのかと考えると、あの一年あまりの二見の軍人生活が、ばらばらな印象としてではなく、身近なものとして弾くようにおれを貫いてきた。士官教育のときから同じ分隊で、偶然にも一緒にここにやって来たわけだが、その時はヘマな奴と一緒じゃ辛いな、と考えたくらいなもんで、別に親近を感じるほどでもなかった。狂ったということで、あいつが一挙におれに近づいたことが、おれにはなにか耐え難い気がした。二見の変調がまだ他の士官に知られていないらしいのは、みんなが自分自分でいっぱいだからで、そしてそれを知っているのがおれだけだという気持が、おれに重苦しくかかってきた。出来るだけはらいのけようと、おれは努めていたのだけれども。
翌日も騒然たる朝から始まった。二見少尉は朝早くから部屋を出ては、あちこちをしきりに歩き廻るらしかった。頬は蒼白く肉が落ちたくせに、歩きぶりはますます勢をつけ、調子正しく両手を振って、バタバタバタと靴をふみならして歩いた。