Classici giapponesi con furigana
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くまとしゃしょう
赤い鳥代表作集 2
木内 高音
Leggi 赤い鳥代表作集 2 (くまとしゃしょう) di 木内 高音 (きうちたかね) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 14.043 caratteri · 29 schermate
風のかげんで、機関のザッザッポッポッという音が、遠くなったり近くなったりする。全線中で一ばん危険な場所になっている急勾配のカーブにさしかかるにはまだだいぶ間があるので、わたしは安心してまた腰をおろすと、いろいろと内地の家のことなどを思いだして、しみじみとした気持になっていた。
――ふと、顔をあげて見ると、貨車との仕切りにはまったガラスまどに、人間の顔がぼんやりとうつっている。わたしは、それが、自分の顔だということは知っていながら、なんだか友だちでもできたようなにぎやかな気持になって、しきりに帽子のひさしを上げたり、さげたり、目をいからしてみたり、口をまげてみたりして、ひとり興がっていた。しまいには、シグナル・ランプを顔の前につきだしてみたりした。(その当時は、客車にさえ、うす暗い魚油灯をつけたもので、車掌室はただ車掌の持つシグナル・ランプで照らされるばかりであった。そのほかに、ろうそくを不時の用意として、いつも持ってはいたが。)で、シグナル・ランプを顔のそばへ持ってきて見ると、自分の顔は、暗いガラスの中に、くっきりとうかびだすようにうつって見えた。