Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.416 caratteri · 53 schermate

Aozora Bunko

と登は思った。いつか、去定は生命力と医術について、こういう意味のことを云った。或る個躰は病気を克服するが、他の個躰は負けて倒れる。医者はその症状と経過を認めることができるし、生命力の強い個躰には多少の助力をすることもできる、だがそれ以上の能力はない。また、医術がもっと進歩すれば変ってくるかもしれないが、それでも個躰のもっている生命力を凌ぐことはできないだろう、というのであった。

「医術ほどなさけないものはない、と云ったな」登は茶を啜りながら呟いた、「――医者をながくやっていればいるほど、医術というものがどんなに無力かということがわかる、そんなふうに云っていた」

そう呟きながら、登は急に眼をあげた。彼は頭の中で、同時に幾つかのことを考えていたのである。佐八のことと、半太夫のことと、それから、留守にまさをが訪ねて来たということを。そのまさをのことが、とつぜんはっきりと意識の表面にうかびあがって来、彼はひどく鬱陶しい気分におそわれた。

食堂を出た登は、そのまま自分の部屋へはいった。するとまもなく半太夫が来て障子の向うから声をかけた。登は気乗りのしない声で、どうぞと答えた。