Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.416 caratteri · 53 schermate
「まるで、娘を一人ぬすまれた、とでもいうようなあんばいでした」
佐八はそう云って太息をついた。
金杉の店が焼け、親方夫婦は荏原のほうの田舎へひっこんだ。佐八は友達の家に寝泊りをして、半月ばかり焼跡や、お救い小屋をたずね歩いたのち、ようやくおなかは死んだものと諦め、すると急に気落ちがして、そのまま友達の家で寝こんでしまった。
「このむじな長屋へ越して来たのは、その年の七月のことでした」佐八は遠いなにかを追い求めるような眼つきで云った、「やっぱり友達なかまの世話で、長屋の端に仕事場をくっつけ、注文を取るのも、仕上げた物を届けるのも自分でやり、めしもたいていは飯屋でかたづけるというぐあいで。どうやら暢気にくらすようになりました」
嫁を貰えと、うるさくすすめられたが、いつもあいまいに話をそらして、彼は独りぐらしを続けていた。二年経って二十八の年の夏、佐八は浅草寺の境内でおなかと出会った。四万六千日の日で、境内は参詣の人たちでいっぱいだったが、念仏堂の脇の人混みの中で、二人は真正面から出会い、お互いを認めて立竦んだ。
おなかは赤児を背負っていた。少し肥えたうえに髪の形も違って、おも変りがしていたのに、佐八は一と眼でおなかだと気づき、彼女のほうでもすぐに彼だということを認めた。