Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.113 caratteri · 35 schermate
去定は暫く歩いてから云った、「悪いことを訊いたようだな、いまの質問は取消しにしよう、忘れてくれ」
登はまた汗を拭いた。
みくみ町のその一画には、低い黒板塀が廻してあり、入口の門の脇には火の番小屋があった。黒板塀はすっかり古びて、ぜんたいに傾がっているし、板の剥がれたところもあった。火の番小屋は油障子があいており、中に男が三人ばかりいるのが見えた。二人は肌脱ぎ、他の一人は裸であったが、通り過ぎる去定を認めると、一人がなにか囁き、三人が一斉に、するどい眼つきで去定を睨み、そして登を睨んだ。
「こんな季節に」と登が訊いた、「ここでは火の番が昼から詰めているのですか」
「あれは表向きだ」と去定が答えた、「ここでも火の番の役は犬がする、あの男たちはここの用心棒だ」
登にはその意味がわからなかった。
「ここの客は武家の小者や折助などが多い」と去定が説明した、「中には武家の威をかりて、たちの悪いことをする者もあるが、そんなときにはあの男たちが出て片をつけるし、また、女たちが逃げるのを防ぐ役目もする、つまりこの一画の娼家に雇われているのだが、――その関係はなかなか複雑だから一と口には云えない、まあ、そのうちにわかるだろうが、――かれらがなにを云っても、決して相手になってはいけない、ということを覚えておくがいい」