Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 22.626 caratteri · 45 schermate
三
母は寝ているというので、そのまま寝間へいってみると、母親の枕許で、若い娘がなにか読んで聞かせていた。登はすぐに、それが天野のまさをだと気づいておどろいたが、まさをのほうでも思いがけなかったのだろう、登の顔を見ると大きく眼をみはり、「あ」といいたげに口をあいたが、読んでいた合巻本をそこへ置くなり、顔をまっ赤にして逃げだした。
三
登は一刻ちかくいただけで、父の戻るのを待たずに三番町の家から帰った。
母はやはり持病の痛風であったが、まえには右足の膝がしらだけだったのに、こんどは太腿から腰にかけて痛みがひろがり、立ち居も不自由になった。それを聞いて、天野から、身のまわりの面倒をみようと、まさをがすすんで来たのだ、ということであった。――まさをが養生所へ訪ねて来たとき、登はついに会わなかったので、少女時代の記憶しかないが、姉のちぐさとは躯つきも顔だちも違っていた。痩せがたで小柄だが、いかにも健康そうであり、動作は若い牝鹿のようにすばしこく、ちょっとしゃくれた、愛嬌のある顔には、清らかな渓流の面に見られるような、敏感で変化のある表情が、絶えずあらわれたり消えたりした。