Classici giapponesi con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Leggi 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.146 caratteri · 40 schermate
と叫び、去定がそれを遮って、登に、「おれの部屋へ入れろ」と云った。
「おちつけ、大丈夫だ」と登は娘に云った、「ここには大勢いるから誰にもなんにもさせやしない、さあ、こっちへおいで」
「気をしずめな、おえい」と女が云った、「おまえのためにするんじゃないか、決して悪いようにするわけじゃないんだから」
「それはあとだ」と去定が云った、「おまえさんは控えで待っておいで」
「わたしがいてはいけないんですか」
「娘さんには私からよく話してみる、控えで待っていなさい。
去定が女を止めているあいだに、登は娘を去定の部屋へ入れた。そこは薬戸納があけてあるし、抽出はみんな半ばまで引き出され、床板の上には袋入りの薬がいちめんに積んであるため、娘の坐る円座をどこへ置くかに迷うくらいであった。――娘は十八か九であろう、荒い木綿縞の丈の短い綿入に、茶色の帯をしめている。髪には櫛が一つだけ、手も足も水仕事でひどくあれているし、白粉けなど些かもみられない顔の赤くなった頬には、もう皸がきれていた。眼鼻だちはいいほうであるが、仮面のように無表情で、そこへ坐るとすぐ、いま泣き喚いていたことも忘れたように、にやにやとうす笑いをうかべた。