Classici giapponesi con furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Leggi 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.174 caratteri · 33 schermate
丸窓の内から九郎右衛門の娘、お菊が投げたに相違ない。
仲間の掟は山より重い。頭領の命令は義よりも堅い。たとえ妹であろうとも、白糸の合図があった以上、殺さなければならないのである。
「南無三宝! 絶体絶命!」
腹の中で泣きながら、呑んでいた匕首を抜いた途端、
「お袖、お袖!」と卜翁の声、母屋の縁に立って招いている。
「はい、ただ今」と云いながら、背中に白糸を付けたまま、バタバタとお袖は走って行った。
胸撫で下ろした忠蔵がホッと溜息を吐いた時、サラリと丸窓が内から開き、
「おい忠蔵!」とお菊の声。
無言で忠蔵は眼を上げた。
「因果は巡る小車の、とんだ事になったねえ。ホッホッホッホッ」と凄く笑う。
しかし忠蔵は黙っている。
「お前の妹と知ったなら川へ落としもしなかったろうに。いわば妾はお前にとっては妹の敵と云うところさね。それに反して卜翁めは、お前にとっては妹の恩人。その恩人の卜翁を妾は父の敵として嬲り殺しにしているのだよ。……遠慮はいらない明瞭とお云い! 妾に従くか卜翁に従くか? 妾は十まで数えよう。その間に決心するがいい。一つ、二つ、三つ、四つ」
「姐御」と忠蔵は冷やかに云った。