Classici giapponesi con furigana
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あかごうしくろうえもんのむすめ
赤格子九郎右衛門の娘
国枝 史郎
Leggi 赤格子九郎右衛門の娘 (あかごうしくろうえもんのむすめ) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.174 caratteri · 33 schermate
「あっ!」と叫んで立ち縮んだ。
「大変でござるぞ鈴木氏!」
「なに大変?」と利右衛門の方がかえって驚いて背を延ばしたが、
「はて何事か起こりましたかな? 顫えて居られるではござらぬか!」
「き、貴殿の……せ、背中に……」
「拙者の背中に何がござるな?」
「し、白い、……い、糸屑が……」
「ヒエーッ」と、利右衛門はのけぞったが、よろよろと二三歩後へ退った。
……と見るや彦七の背中にも一房の白糸が下っている。
「や、や、貴殿の背中にも。……やっぱり同じ白糸が!」
「うわ!」と彦七はそれを聞くと、生気地なくベタベタと地へ坐った。
「エイ!」と右手の藪陰からその時に鋭い掛声が掛かった。
「うむう」と同時に呻き声がした。クルリ体を廻したかと思うと、仰向けに利右衛門は転がった。鋭利な削竹が節元まで深く咽喉に差さっている。
「人殺し!」と、彦七はやにわに喚いて飛び上ったが、
それより早く藪陰からまたも同じ掛声がした。……声と一緒に彦七も霜の大地へころがった。
削竹が咽喉に立っている。
大阪界隈怪盗横行
後は森然と静かである。
さっきから今にも泣き出しそうにどんより曇っていた低い空から霙がパラパラと降って来たが、それさえほんの一瞬間で、止んだ後は尚さびしい。