Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あかごうしくろうえもん

赤格子九郎右衛門

国枝 史郎

Leggi 赤格子九郎右衛門 (あかごうしくろうえもん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.484 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

で彼は小首を傾げながら、何時迄も其前に立っていた。

すると、あやしくも、燈籠の火が、次第々々に明るくなり、空に太陽でも出たかのように庭一面輝き渡ったが、次の瞬間には忽然と消えて、今迄在った燈籠さえ何処へ行ったものか影も無い。

利休は思わず嘆息した。

「此利休の芸術には、乗ぜられる隙があると見える。風雅で固めた庭の上を、狐狸の類に荒らされるとは、さてさて不覚の沙汰ではある」

併し不覚は是ばかりで無く、もっと致命的の大不覚が、彼の身辺に起って来た。

夫は六月の十日という夏の最中のことであったが、夜更けて彼は只一人、いつもの寝間に眠っていた。

轡の音に眼を醒ます。これは武士の嗜である。彼は茶筌の音を聞いて、ふと真夜中に眼を醒ました。衾の上に起き上り、じっと其音へ耳を済ます。と、其音は思いもよらず隣の室から聞えて来る。

彼は思わず衾を刎ねた。そしてスルリと立ち上がった。足音を盗んで襖へ寄り、細目に開けて隙かして見た。

髪を若衆髷に取上げた躯幹の小造りの少年武士が彼の方へ横顔を見せ、部屋の真中に端然と坐わり、巧みな手並で茶を立てている。見覚えの無い武士である。