Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろじょう

路上

芥川 竜之介

Leggi 路上 (ろじょう) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 43.539 caratteri · 87 schermate

Aozora Bunko

会場の次の間には、もう聴衆が大勢つめかけて、電燈の光も曇るほど盛に煙草の煙を立ち昇らせていた。中には大学の西洋人の教師も、一人二人は来ているらしかった。俊助は、大きな護謨の樹の鉢植が据えてある部屋の隅に佇みながら、別に開会を待ち兼ねるでもなく、ぼんやり周囲の話し声に屈托のない耳を傾けていた。

するとどこからか大井篤夫が、今日は珍しく制服を着て、相不変傲然と彼の側へ歩いて来た。二人はちょいと点頭を交換した。

「野村はまだ来ていないか。」

俊助がこう尋ねると、大井は胸の上に両手を組んで、反身にあたりを見廻しながら、

「まだ来ないようだ。――来なくって仕合せさ。僕は藤沢にひっぱられて来たもんだから、もうかれこれ一時間ばかり待たされている。」

俊助は嘲るように微笑した。

「君がたまに制服なんぞ着て来りゃ、どうせ碌な事はありゃしない。」

「これか。これは藤沢の制服なんだ。彼曰、是非僕の制服を借りてくれ給え、そうすると僕はそれを口実に、親爺のタキシイドを借りるから。――そこでやむを得ず、僕がこれを着て、聴きたくもない音楽会なんぞへ出たんだ。」

大井はあたり構わずこんな事を饒舌りながら、もう一度ぐるり部屋の中を見渡して、それから、あすこにいるのは誰、ここにいるのは誰と、世間に名の知られた作家や画家を一々俊助に教えてくれた。