Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おどるびじんぞう

踊る美人像

野村 胡堂

Leggi 踊る美人像 (おどるびじんぞう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.460 caratteri · 31 schermate

Aozora Bunko

「あッ」

女優は一歩下りましたが、気を取り直して遠い灯に男の顔をすかし乍ら、

「矢張り貴方ねえ。手が変って居るから変だとは思ったが、あんな事を言われると来ないわけには行かない――」

勝気らしい次高音が、夜の空気に艶めかしく響きます。

「斯うでもしなければ、俺に逢ってくれるお前では無い」

「そう判って居るだけ感心よ。サア、物わかりの良い坊ちゃんは、こんな気障に筋書を書くものじゃない、黙って私を帰らして頂戴」

「いけないよ」

「じゃ、何うしようと言うの」

「これでも昔の良夫じゃないか、一時間や二時間は付き合ってもよかろう」

「御免蒙るワ。今晩は私のアパートへ大勢客を招んで居るから、昔の亭主などを相手にしちゃ居られない。御存じの通り私の生活はそりゃテンポが早いんだから」

「何?」

「貴方の顔を見ると、胸が一杯になるという事なの、横須賀行の電車見たいな顔だわねエ。ホ、ホ、ホ、ホ」

抑え切れない嬌笑が、闇の中に突っ走ります。

「畜生ッ、まだ俺を馬鹿にする気か」

「あら、御免なさいよ、そんな気じゃないワ。だけど、本当に今晩は付き合っちゃ居られない、次にして下さいな。無期延期よ、ね、ね」