Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おどるびじんぞう

踊る美人像

野村 胡堂

Leggi 踊る美人像 (おどるびじんぞう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.460 caratteri · 31 schermate

Aozora Bunko

「合点」

綽名まで取った得意の章駄天です。中距離競走の要領で駆け出す勇を見送って、千種十次郎は女の側へ、

「サア、柳さん。せめてこれでも引っかけて、外へ出ましょう」

セルの上へ羽織った絽の夏羽織を取って、消えも入りそうな真珠色の女の肩へ掛けてやります。

「アッ、千種さん」

商売柄、この名記者を見知って居た柳糸子の顔には、新しい苦悶の色が浮びます。

「何んにも知らずに、無名の手紙で呼び寄せられたんです。併し、新聞記者は見た事を、皆んな新聞へ書くものと思ったら、あの男は大変な違算をしたでしょう」

「え、じゃ今晩の事は」

「大丈夫、書きやしません。それより急いで帰りましょう。勇は多分霞門まで自動車を廻して居てくれたでしょう」

「有難う、千種さん、本当に感謝するワ」

この美しい女優を抱き上げるように、公園の外へ出ると、果して一台の自動車が人待顔に停って居ります。

不思議そうな顔をする運転手には、百円札を何枚か、それで何も彼も封じてしまいます。絽の羽織に包まれた、美しい女優と並んで、虎の門のアパートに着いたのは、九時半過ぎでしたろう。

「千種さん、此処から帰っちゃ厭よ。