Classici giapponesi con furigana
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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
Leggi 近世快人伝 (きんせいかいじんでん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 79.469 caratteri · 157 schermate
生命が惜しくて名誉が欲しくて、金や職業が、焦げつくほど欲しい浪人が滔々として天下に満ち満ちている状態である。
その中に吾が頭山満翁は超然として、一依旧様、金銭、名誉なんどは勿論の事、持って生れた忠君愛国の一念以外のものは、数限りもない乾分、崇拝者、又は頭山満の沽券と雖も、往来の古草鞋ぐらいにしか考えていないらしい。否現在の頭山満翁は既に浪人界の巨頭なぞいう俗な敬称を超越している。そこいらにイクラでも居る好々爺ぐらいにしか自分自身を考えていないらしい。
嘗て筆者は数寄屋橋の何とか治療の病院に通う翁の自動車に同乗させてもらったことがある。その時に筆者は卒然として問うた。
「どこか、お悪いのですか」
「ウム。修繕りよるとたい。何かの役に立つかも知れんと思うて……」
その語気に含まれた老人らしい謙遜さは、今でも天籟の如く筆者の耳に残っている。
以下は筆者が直接翁から聞いた話である。
「世の中で一番恐ろしいものは嬶に正直者じゃ。いつでも本気じゃけにのう」
「四五十年も前の事じゃった。友達の宮川太一郎が遣って来て、俺に弁護士になれと忠告しおった。これからは権利義務の世の中になって来るけに、法律を勉強して弁護士になれと云うのじゃ。