Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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れんかんき

連環記

幸田 露伴

Leggi 連環記 (れんかんき) di 幸田 露伴 (こうだろはん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.281 caratteri · 95 schermate

Aozora Bunko

定基にはそれが分って実に苦かった。修法の霊水、本尊に供えたところの清水を頂かせると、それは甘美の清水であるので、病人は心から喜んで飲んで、そして定基を見て微かに笑う、其の此世に於て今はただ冷水を此様に喜ぶかと思うと、定基は堪らなく悲しくて腹の中で泣けて仕方がなかった。病気は少しも治る方へは向かなかった。良い馬が確かな脚取りを以て進むように、次第次第に悪い方へのみ進んだ。其の到着点の死という底無しの谷が近くなったことは定基にも想いやられるようになったし、力寿にもそれが想い知られているようになったことが、此方の眼に判然と見ゆるようになった。しかし二人とも其の忌わしいことには、心をも言葉をも触れさせないように力めた。互に相棄てたくない、執着の心が、世相の実在に反比例して強く働いたからである。

日影の動かない日は有り得ない。其時は来て其影は流れた。力寿は樹の葉が揺れ止んで風の無くなったのが悟られるように、遂に安らかに死んで終った。定基は自分も共に死んだようになったが、それは一時のことで、死なないものは死ななかった。たしかに生残っていた。別れたのだ。二つが一つになっていた魂が、彼は我を捨て、我は彼に従うことが叶わないで、彼は去り、我は遺ったのであった。