Classici giapponesi con furigana
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じんるいのせいぞんきょうそう
進化と人生(上)
丘 浅次郎
Leggi 進化と人生(上) (じんるいのせいぞんきょうそう) di 丘 浅次郎 (おかあさじろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 82.343 caratteri · 164 schermate
以上のごときことはしばらくおくとして、われらが苔虫の国を見て真にうらやましさにたえぬのは国内の各個体の間に少しも争いのないことである。何故に少しも争いがないかというに、苔虫類では国内の各個体は私有財産がないくらいであるゆえ、隣の者と相争う理由が少しもなく、相互におのれの欲するところはこれを他に施し、おのれの欲せざるところはこれを他に施さぬによるのである。われらは二十年あまりも苔虫類の生活のありさまを観察し、ガラスの細管に微細な藻類を吸い入れて二匹の苔虫の間にこれを吹き出し、その相争うや否やを試験したこともしばしばあるが、二匹ともにただ自分の指を広げている範囲内にきた食物を取るだけで、その中間に流れきた食物のごときは早く触れたほうの個体が静かにこれを取り収め、二匹相争うごときことは決してない。もっとも同一の血液が全国内を循環しているのであるゆえ、いずれが食物を取っても、その滋養分は平等に分配せられるから、同一物を相争うて取る必要は少しもないのである。
かくのごとく苔虫の国では各自がおのれの欲するところはすべてこれを他に施し、おのれの欲せざるところは決してこれを他に施さぬから、罪悪ということが全くない。