Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いしょ

遺書

尾崎 秀実

Leggi 遺書 (いしょ) di 尾崎 秀実 (おざきほつみ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3030 caratteri · 6 schermate

Aozora Bunko

今後の諸情勢と楊子自体の希望によって決定さるべきものであり、英子と雖も単に親切な助言者以上の役割を努める以外に、自分の意思を強いても無駄であると知るべきでしょう。云うまでもありませんが、私の家を存続するとか、尾崎の名を伝えるとかいう気もありませんから、「養子」などのことは毫も特別考慮の必要ありません。只一つの希望は将来楊子が夫を持つ場合お母さんをも大事にしてくれる人を選んでほしいということだけです。

私が妻子に只一つ大きな声で叫びたいことは、「一切の過去を忘れよ」「過去を棄てよ」ということです。私が昔からそれとなく云いつたえ、ことに過去二年九カ月にわたって何とかして分からせたいと考えて云ったり書いたりしたことはただそれだけだったのです。お金がもはや頼りにならないことは事実が否応なしに教えた筈です。物と雖もやがて同様です。結局それは過去の残骸です。否そればかりでなく、過去の記憶にすら捉われてはならない時です。一切を棄て切って勇ましく奮い立つもののみ将来に向って生き得るのだということをほんとに腹から知ってもらいたいというのです。

家内は私の行動があまりに突飛であり自分のことを思わないばかりでなく、妻子の幸福を全然念頭に置かない残酷な行動だったと恨んでいることが手紙の中などからよくうかがわれます。