Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
のわき
野分
山本 周五郎
Leggi 野分 (のわき) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.401 caratteri · 42 schermate
……植伴は庭樹の畑もあるが、鉢に作る物を主にしていたので、そのための板小屋が五棟もあり、職人たちも十人からいた。藤七はその小頭という格で、別棟の住居を貰っておちついた。それは植木畑の中にあり、植伴の先代の隠居所だったという。六帖に四帖半だけのごくざっとした建物だが、井戸がすぐ脇にあるし、まわりは広く、樹にとりまかれているし、徳右衛門町の裏長屋に比べると、まるでお屋敷へでも住むような気持だった。
「日暮里といえばおまえ、市中から銭を遣って、わざわざ旦那方が遊山に来るところだ、この家だってみな、まるで大店の寮といっても恥ずかしくはねえぜ」
藤七には珍しく、当分のあいだ諄いほどそう云い云いした。四五日ばかりはお紋もそう思ったが、少しするとだんだんこころぼそくなり、殊に昏れ方には胸ぐるしいほどの淋しさにおそわれ始めた。本所にいれば物売りの声が次ぎつぎに来た、人の往き来も繁くなり、子供の騒ぎや家々の厨の音や、近所同志の高笑いや呼びあう声など、黄昏のものかなしいなかにも、しみいるような懐かしい賑やかさがあった。此処にはそういうものがまるで無かった。……来る日も来る日も風だった、筑波颪という乾いた刺すような木枯しが、遠い野づらをわたり林をゆすり、凍みた刈田や茶色になった草原をそよがせて、ひょうひょうと家の軒を吹きめぐっ