Classici giapponesi con furigana
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のわき
野分
Leggi 野分 (のわき) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 93.508 caratteri · 189 schermate
世の中が夫を遇する朝夕の模様で、夫の価値を朝夕に変える細君は、夫を評価する上において、世間並の一人である。嫁がぬ前、名を知らぬ前、の己れと異なるところがない。従って夫から見ればあかの他人である。夫を知る点において嫁ぐ前と嫁ぐ後とに変りがなければ、少なくともこの点において細君らしいところがないのである。世界はこの細君らしからぬ細君をもって充満している。道也は自分の妻をやはりこの同類と心得ているだろうか。至る所に容れられぬ上に、至る所に起居を共にする細君さえ自分を解してくれないのだと悟ったら、定めて心細いだろう。
世の中はかかる細君をもって充満していると云った。かかる細君をもって充満しておりながら、皆円満にくらしている。順境にある者が細君の心事をここまでに解剖する必要がない。皮膚病に罹ればこそ皮膚の研究が必要になる。病気も無いのに汚ないものを顕微鏡で眺めるのは、事なきに苦しんで肥柄杓を振り廻すと一般である。ただこの順境が一転して逆落しに運命の淵へころがり込む時、いかな夫婦の間にも気まずい事が起る。親子の覊絆もぽつりと切れる。美くしいのは血の上を薄く蔽う皮の事であったと気がつく。