Classici giapponesi con furigana
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かわぐちこ
野菊の墓他六篇
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓他六篇 (かわぐちこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.105 caratteri · 61 schermate
富士はほとんど雲におおわれて傾斜遠長きすそばかり見わたされる。目のさきからじきに山すそに連続した、三、四里もある草木あるいは石の原などをひと目に見わたすと、すべての光景がどうしてもまぼろしのごとく感ずる。
予はふかくこの夢幻の感じに酔うて、河口湖畔の舟津へいでた。舟津の家なみや人のゆききや、馬のゆくのも子どもの遊ぶのも、また湖水の深沈としずかなありさまやが、ことごとく夢中の光景としか思えない。
家なみから北のすみがすこしく湖水へはりだした木立ちのなかに、古い寺と古い神社とが地つづきに立っている。木立ちはいまさかんに黄葉しているが、落ち葉も庭をうずめている。右手な神社のまた右手の一角にまっ黒い大石が乱立して湖水へつきいで、そのうえにちょっとした宿屋がある。まえはわずかに人の通うばかりにせまい。そこに着物などほしかけて女がひとり洗濯をやっていた。これが予のいまおる宿である。そして予はいま上代的紅顔の美女に中食をすすめられつついる。予はさきに宿の娘といったが、このことばをふつうにいう宿屋の娘の軽薄な意味にとられてはこまる。
予の口がおもいせいか、娘はますますかたい。