Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
おとよも父とはよく話が合い、これまでほとんど父の意に逆らった事はなかった。おとよに省作との噂が立った時など母は大いに心配したに係らず、父はおとよを信じ、とよに限って決して親に心配を掛けるような事はないと、人の噂にも頓着しなかった。はたして省作は深田の養子になり、おとよも何の事なく帰ってきたから、やっぱり人の悪口が多いのだと思うていたところ、この上もない良縁と思う今度の縁談につき、意外にもおとよが強固に剛情な態度を示し、それも省作との関係によると見てとった父は、自分の希望と自分の仕合せとが、根柢より破壊せられたごとく、落胆と憤懣と慚愧と一時に胸に湧き返った。
さりとて怒ってばかりもおられず、憎んでばかりもおられず、いまいましく片意地に疳張った中にも娘を愛する念も交って、賢いようでも年が若いから一筋に思いこんで迷ってるものと思えば不愍でもあるから、それを思い返させるのが親の役目との考えもないではない。
夕飯過ぎた奥座敷には、両親と佐介と三人火鉢を擁していても話にはずみがない。
「困ったあまっ子ができてしまった」
天井を見て嘆息するのは父だ。
「おとよはおとッつさんの気に入りっ子だから、おとッつさんの言うことなら聞きそうなものだがな」