Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
初めはお千代の暢気が目についたに、今は三人やや同じ程度に暢気になった。しかしながら省作おとよの二人には別に説明のできない愉快のあるはもちろんである。物の隅々に溜っていた塵屑を綺麗に掃き出して掃除したように、手も足も頭もつかえて常に屈まってたものが、一切の障りがとれてのびのびとしたような感じに、今日ほど気の晴れた事はなかった。
御蛇が池にはまだ鴨がいる。高部や小鴨や大鴨も見える。冬から春までは幾千か判らぬほどいるそうだが、今日も何百というほど遊んでいる。池は五、六万坪あるだろう、ちょっと見渡したところかなり大きい湖水である。水も清く周囲の岡も若草の緑につつまれて美しい、渚には真菰や葦が若々しき長き輪郭を池に作っている。平坦な北上総にはとにかく遊ぶに足るの勝地である。鴨は真中ほどから南の方、人のゆかれぬ岡の陰に集まって何か聞きわけのつかぬ声で鳴きつつある。御蛇が池といえば名は怖ろしいが、むしろ女小児の遊ぶにもよろしき小湖に過ぎぬ。
湖畔の平地に三、四の草屋がある。中に水に臨んだ一小廬を湖月亭という。求むる人には席を貸すのだ。三人は東金より買い来たれる菓子果物など取り広げて湖面をながめつつ裏なく語らうのである。