Classici giapponesi con furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Leggi 野菊の墓 (ななこ) di 伊藤 左千夫 (いとうさちお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.271 caratteri · 144 schermate
稲を刈って助けるのは、心あっての事ともそうでないとも見られるが、そのそぶりはなんでもないもののする事とは見られない。
午後もやや同じような調子で過ぎた。兄夫婦は稲の出来ばえにほくほくして、若い手合いのいさくさなどに目は及ばない。暮れがたになってはさしもに大きな一まちの田も、きれいに刈り上げられて、稲は畔の限りに長く長城のごとくに組み立てられた。省作もおとよさんのおかげで這い回るほど疲れもせず、負恥もかかず済んだ。おはまがもしおとよさんのしぐさを知ったら大騒ぎであったろうけれど、とうとうおはまはそれを知らなかった。おはまばかりでない、だれも知らなかったらしい。
「今日ぐらい刈れば省作も一人前だなア」
これが姉のほめことばで見ても知られる。のっそり子の省作も、おとよさんの親切には動かされて真底からえい人だと思った。おとよさんが人の妻でなかったらその親切を恋の意味に受けたかもしれないけれど、生娘にも恋したことのない省作は、まだおとよさんの微妙なそぶりに気づくほど経験はない。
元来はこの秋二軒が稲刈りをお互いにしたというも既におとよさんの省作いとしからわいた画策なのだ。